他人の人生

きわめて個人的なこと

同じ月を見ている

ねえ、実は今日も月が綺麗だよ。

昨日はきっとたくさんの人が空を見上げたのだろう。SNSにも月の写真がずらっと並んでいて、ああ皆既月食なんだと知った。一階の部屋の隅から眺めたまるい月。おつきさま。おひさま。おてんとさま。神様。私たちは、空の上にある存在に「さま」をつけがちだ。

皆既月食の翌日、なんてことない今日、立ち止まって月を見上げた人は何人いただろうか。

今日は皆から忘れられてしまったみたいなまんまるおつきさま。忘れられたわけではないけれど、特別でも何でもないおつきさま。そういう位置づけにあるものが昔から私は大好き。

 

今、うまくいかないこと、

今、どうしようもできないこと、

将来への漠然とした不安、

形のない心配、

半年後の見えない不安、

明日がくるのがこわい夜。

これら全てが私にとって、乗り越えられる「ただの楽しい試練」でありますように。

いつか誰かと空を眺めながら歩くことができる安心した夜が訪れますように。

心の底から分かり合えなくても、同じ温度で物事をはかろうとすることができる同士と出会うことができますように。

 

ねえ、今日も月が綺麗だよ。

星もたくさん出ているよ。

空気が澄んでいる。冬が近いね。

月からはどう見えているんだろう、ちっぽけな私たちのこと。いつまでもキラキラした塵でいたいな。