他人の人生

きわめて個人的なこと

【かしこ】について※支離滅裂

いつだか忘れたけれど、クイズノックとフワちゃんがコラボしている動画の中で、フワちゃんが「あたし【かしこ(賢い人)】がこの世でいちばんすき!!!」って言っていた。たまに、何の脈絡もない生活の一場面でこの一言を思い出す。

考えてみれば、私も【かしこ】がこの世でいちばん好きかもしれない。【かしこ】とは、単に頭が良い・勉強ができるということではなく、

・学ぶ→活かすができること

・当たり前に学ぶ努力ができること(息するように学ぶ)

・賢いということを武器にはするが自慢はしないこと

・自分と他人は別であると理解していること

・その上で人を思いやることができること

・適切な言葉を選ぶことができること

のような人のことを指すと私は思っている。

【かしこ】な人を見ると、単純に興味がわく。もちろん尊敬もするし、自分も何か学びたいなと学習意欲もわくけれど、それ以上に、【かしこ】な人はどうやって物を考え、どうやって普段生活しているのだろうというところが気になる。

【かしこ】はすごい。適切な場面で適切な知識を披露する。無駄にひけらかさない。言っていいことと言わない方がいいことの線引きがうまい。相手を慮る余裕と品がある。そう、【かしこ】は、品があるのだ。

そんな【かしこ】が大好きな私自身は【かしこ】ではない。小学校から高校まで、学校のお勉強は苦手ではなかったし、定期テストも数日夜漬けでそれなりの点数をとることができていた。高校時代も、私の成績は大抵学年の上位5%〜10%に位置していて、廊下に貼り出された試験結果には必ず名前があった。クラスメイトから見た私は「どちらかというと勉強ができる人」に映っていたかもしれない。でも私は勉強が好きなわけではなかった。勉強は試験のためにする。勉強は成績をキープするためにする。自分だけこの問題が分からないのは嫌だから勉強する。先生に当てられた時に答えられないと恥ずかしいから予習する。そんな、ネガティブで打算的な理由から勉強をしていた。

試験だってそうだ。周囲と順位を争うゲームだと思ってやっていた。順位のケタが変わった時は快感だった。一度上位に入ってしまったらキープし続けないとダサいという見栄もあった。成績は、自分の価値を高める道具のような気もしていた。田舎の公立高校は、国立大学に進む生徒が増えると喜びがちだし、出来るだけ多くの生徒を国公立大学に行かせたいと願う(私の偏見も入っています)。「お前なら国立行けるぞ!」「もっと上目指せるぞ!」と褒めて伸ばされ(?)、私は自分が「賢い生徒」なのだと錯覚していた。でも、私は結局、「学校の勉強」も「学ぶこと」も大して好きではなかったみたいだ。定められた道をお利口に歩いてきたつもりだった私は、「自分から興味を持つ」ことがどういうことか、「能動的に学ぶ」とはどういうことか、まったく分からなかったのだ。

その頃からずっと、私は「能動的に興味を持ち、学び遂げる」人に憧れを抱いている。「楽しそうに専門分野を極める人」を尊敬している。私は与えられたものを適当に処理することしかできない。ずっと疑問だった。私もそれなりにやれるはずなのに、私もそれなりに賢いはずなのに、なんなら学校の成績だったら多分私の方が上位なはずなのに、どうしてあの人をこえられないんだろうって、人と自分を比べては落ち込む日々を繰り返した。そんなことする時点できっと私は【かしこ】ではなかったのだ。大人になって、勉強で点数をつけられなくてよい・順位を気にしなくてよい日々を過ごして、やっとわかってきた。私は、勉強が嫌いだ。嫌い、は極端かもしれない。好きではない、くらいが妥当かもしれない。でも、「できない」が「できる」になる瞬間、「わからない」が「わかる」になる瞬間に立ち会うのはとても好きだ。そのためならほんのちょっと努力できる。大人になった私が学ぶ理由なんて、そんな些細なことで良いんじゃないか。【かしこ】ではないけれど、【かしこ】マインドは持っていたい。まだまだ道のりは長いけれど、私はいつか「品があるお嬢さんね」と言われたいのだ。知性・理性の溢れる魅力的な女性になりたいのだ。【かしこ】からだいぶ飛躍してしまったけれど。

まったく別件ですが、かしこについて誰得エピソードをひとつ。

小学生の頃、なんらかの授業で(覚えていない)、学校近隣に住んでいる高齢の方に手紙を書こう、というものがあった。見ず知らずのおばあちゃんに私も手紙を書いたのだが、運良くそのおばあちゃんは筆まめな方だったようで小学生の私にお返事のハガキをくださった。その時のハガキのいちばん最後に「かしこ」とあったのだ。家に帰って私は母に「このおばあちゃん【かしこさん】って名前なの?」と聞いた記憶がある。その時に初めて母に「女の人が手紙の終わりに添える言葉」であることを教えてもらった。へええ〜〜〜!!!と思った。長く生きるって知っていることが多くてすごいなと思った。感動した。人生史上いちばんシンプルに「学ぶ」ことができていた私自身の【かしこ】時代は、その頃だったかもしれない。