他人の人生

きわめて個人的なこと

雑記というのも申し訳ないくらいの雑記

菜の花の黄色が目に飛び込んできた。もう春なんだ。ひんやりした空気の中で、花の鮮やかさが綺麗に映える。季節はちゃんと巡る。私は来年にはこの土地に確実にいない。一期一会の毎日だ。きっともう会わない人、この先思い出さない人、忘れてしまったことも忘れてしまう人。大好きだけどずっと一緒にはいられない人、大好きだけどずっと住み続けられない場所、大好きだけどずっと同じではいられない関係。いつになったら「とどまることが不安」だという病が治るのだろうか。ずっとこのままがいいな、というのが私の口癖で、それなのに「ずっとこのまま」が現実的でないことを誰よりも確信している。「誰のことも信用ならねえ」が、私の心の中の口癖だ。生きるというのは自分の身を守ること。可愛くない、ずっと。

 

あなたもどこか歪んでいると言われるほうが、真っ当だと言われるよりも楽なんだろうなと薄々気づいてはいたけれど、実際そうだった。ああ自分は歪んでいるからこんななんだ、って、どこかすとんと腑に落ちるような、赦されたような気持ちになった。大人になったつもりで、ちっとも私は自分のことを理解していない。最初にくるのはいつも、傷つきたくないという感情。きっと誰よりも傷つきたくないという気持ちは強いと思う。それなのに、自分は不用意に人を傷つける。

 

「真の人間好き」という人間の種類があると思っている。私は残念ながらそうではない。人は好きだ、でも同じかそれ以上に怖い。接客業をしているのに怖い。訓練してもまだ怖い。あとあまり他人に興味がない。そんな私なので、「真の人間好き」を目の当たりにすると溜息が出るほど羨ましくなる。

私は犬みたいな愛らしい性格に憧れているけれど、人に言わせれば我儘な猫らしい。尻尾をぶんぶん振り回して、全身であなたがいないと生きていけないよと表現できればどんなに良いだろう。あっけらかんとした愛情を飼い慣らしてみたい。来世に期待。

 

 

春だからどこかに行っちゃいたくなるよ。白いスニーカーを履いてどこまでも歩いていきたい。春だから走り出したくなっちゃうよ。痛くも痒くもないって顔してるけれど、本当は痛いし痒い。嫌いとか言わないで。大丈夫とか言わないで。私を諦めないで。手離さないで。捨てないで。忘れないで。まあそんなこと一つも言えずに、いつも軽々しい棒読みの「サヨナラ〜」を繰り出すんだけど。頼むから私に何も教えないでほしい。君が言っていた「人参は油で炒めると栄養アップ」みたいなことを、別れた後に思い出してしまうから。