他人の人生

きわめて個人的なこと

あざらし

人の指と爪を見てしまうくせがある。自分の指と爪にコンプレックスがあるせいかもしれない。人の指や爪を眺めながら、綺麗な指だな、綺麗な爪だなとよく思う。ささくれとひび割れだらけの歪な形の自分の指と爪を恥ずかしく思う。

 

最近、ずっと寂しい。虚栄心を全身に装備して、本当はずっと寂しくて堪らない。少しつつけばすぐに泣いてしまうくらいの脆さがある。夜、家に帰ってふと我にかえると、ぜんぶ間違いだった気になってしまう。走り続けていないとダメになりそうだ。立ち止まったら不安や怖さや孤独感やその他あらゆる負の感情が一気に押し寄せてきてきっと流されてしまう。

 

人はひとりよ。知っている。でも、嘘でもいいから安心させてほしい。束ねて、捕まえて、宥められたい。胃が痛いし、耳の奥で変な音がするし、たまに何も聞こえない瞬間がある。まあこれは前からストレスがたまるとこうなんだけど。大丈夫よ。大丈夫。いつかこんなときに、一人じゃ不安なピンポイントの夜に、物理的に一人じゃなくなる日がくるはず。はず。